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エキスパートコラム

ネットショップ運営ノウハウ:来訪者分析について考える!(全5回)

第4回:サイトの定性的な課題を教えてくれるユーザビリティテストの基本手順

執筆:森戸 裕一(一般財団法人 ネットショップ能力認定機構)

2015年1月22日更新

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「ネットショップ運営ノウハウ」では、ネットショップを立ち上げて運営していくなかで必要となるノウハウを、初心者のオーナーさんや店長さんにもわかりやすく各分野の専門家に解説していただきます。

このコラムではネットショップの来訪者分析をテーマに、ネットショップのアクセス解析を専門に事業展開されている、株式会社グラシスの土谷社長を講師にむかえてお送りします。

ユーザビリティテストについて

前回は「ユーザビリティテスト」の概要についてご紹介しました。
ユーザビリティテストは、サイトのターゲットユーザと同一属性のモニターに実際にサイトを利用してもらい、行動観察やヒアリングを通じて、ユーザー心理の深掘りやサイトの課題を見つける手法です。

Google アナリティクスによる定量データ分析では取得することができない、「なぜ起こったか(why)、どこで起こったか(where)」といった定性的な情報が詳細に分かり、特にサイトの導線改善に大きな効果を発揮します。

第4回目の今回は、ユーザビリティテスト実施時のコツをご紹介します。

ユーザビリティテストとは(復習)

Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールは、アクセス数の多いページや直帰率の高いページを特定することが可能です。

しかし、「このページの直帰率が高く、この訴求部分で多くの訪問者は離脱してしまっていることは分かった。では、何が原因でどう改善すればいいか?」という議論になると原因・改善策は推測の域を出ません。サイト運営者側で策定した課題の原因・改善案はあくまで想定に過ぎず、想定の時点で改善案の成功確率は下がってしまうのです

そこで効果を発揮するのがモニターを活用したユーザビリティテストです。

サイトのターゲットと同一属性のモニターにWebサイトを実際に利用してもらい、「頭の中で何を思っているか」を独り言(思考発話)でつぶやきながらサイトを操作している様子を行動観察します。モニターの生の声、操作方法を直接ヒアリングすることで、デザインや文章、レイアウトの課題などサイト運営者では気づかないような意外な発見が得られる強力な分析手法です。

また、Google アナリティクスに代表されるアクセス解析ツールでは分析できる範囲が「流入元経路と自社サイト」に限られますが、ユーザビリティテストでは、「競合サイトと自社サイトとの比較」や、「自社サイトのリニューアルデザイン案と現行サイトのデザイン案の比較検討」ができ、分析可能な守備範囲の広さも大きな特徴です。

ユーザビリティテストの流れ

ユーザビリティテストの基本的な手順について説明していきます。

1. モニターの募集

モニターの条件として、以下が挙げられます。

  • ターゲットユーザと同一属性であること
  • 極端なパソコンの初心者でないこと

    インタビュアー:「ひどい腰痛にあなたは悩まされています。そこで通院先の整骨院をインターネットで検索してみてください。」

    モニター:「私はパソコンが苦手で、普段まったくインターネットで検索しないんですが・・・」

    このモニターの選別は明らかに失敗です。まったくのパソコン初心者をターゲットするようなサイトでないのであればモニター条件から除外して構いません。

  • サイト運営者と利害関係が無く、忌憚ない発言をしてくれる第3者であること

    利害関係、主従関係などモニターが遠慮をしてしまうような方はモニター対象からは除外するのが賢明です。

なお1つのテスト目的に対して、3人のテストでサイトの操作性の課題の60%、5人で80%が発見できると言われています。テスト人数は5人ぐらいを目安とすると良いでしょう。

2. テスト設計

テスト設計はテスト成否に大きく影響してきますので綿密な設計が重要です。

テストで実施したいタスクを設計する
  • 主要なタスクに絞り込む

    細かいバリエーションのテスト項目を設定したくなりますが、すべてをテストすることはリソース的に現実的ではありません。主要なタスクに絞ってテストしてください。

    ユーザビリティテストを実施するにあたり、訪問ユーザに取って欲しい行動やサイトリニューアルによりメニュー変更や新機能追加など何かしら“主要な目的”があるはずなので、目的に関連したタスクを優先して設計します。

    もし手がかりが無い場合は「サイトで達成したい理想の姿」と「達成できていない現状」とのギャップに着目するとタスク設計の糸口になります。

  • スタートとゴールを定義する

    ユーザビリティテストの最大のチェックポイントは「訪問ユーザがタスクを達成できるかどうか」です。ゴールページを定義し、モニターがそのページに到達したかどうかでタスクの成否を判定します。

    ゴールページの例)
    注文完了ページ、資料請求完了ページ、もしくは注文完了メール受信をするまで、など。

    また、テスト開始のスタートページの定義も非常に重要です。Webサイトのトップページから訪問するユーザもいれば、リスティング広告などを経由して特定のページへ直接訪問するユーザもいます。
    訪問ユーザが最初に訪れるページによっても、サイトの成約率は大きく変わってきますので、テスト目的に応じた流入経路と適切なスタートページの定義は非常に重要です。

  • シナリオ化する

    テストを開始して突然「このサイトで建築物件の同時査定を申し込んでください。」と言われてもモニターは戸惑うことでしょう。実際の利用シーンならば、訪問ユーザ自身にサイトに訪問した理由や目的がありますが、テストではその動機を用意してあげる必要があります。動機がないと、モニターはリアルなシーンをイメージできず自発的に行動が起こせず精度の低いテストとなってしまいます。

    そこでタスクをシナリオ風に作成します。

    たとえば、「あなたが両親と同居することになり今住んでいるマンションが手狭になりました。そこで今住んでいるマンションを売却し、2世帯住宅に住み替えようとしています。
    このサイトを利用してマンション売却の同時査定に申し込みしてください。」と言ったようにシナリオを提示すれば、モニターはより現実感をもってタスクに取り組むことができるようになります。

テスト用ツールの事前準備

モニターは当然何も準備をせずにテスト会場に来ます。つまり、テストに必要な情報や環境はすべて事前に用意しておく必要があります。

  • 登録情報の事前準備

    会員登録や注文フォーム入力時にはダミーの個人情報の準備や、実際に商品を購入する際はクレジットカードの準備も必要です(代引きなどで代替する場合もあります)。
    他にも特定の商品、競合サイトの調査を実施する場合は、事前に商品名やサイト名を記載した「情報提示カード」の用意も必要です。

  • 初期化手順書

    意外と重要なのが、初期化作業です。

    テストでは各モニターが同じPCでテストを受けてもらうために、前にテストしたモニターが訪問したリンクに色が付いたり、注文カートに商品が残ったりすることがあります。テストが終わったらその都度ブラウザの履歴や注文カート履歴をクリアしておかないと、次のモニターがテストしている際に前のモニターの履歴が見えてしまいテストが台無しになってしまいます。

    テスト設計時にはシステムの初期化についても入念にチェックしてその作業を手順書にまとめ、確実に実施できるようにしてください。

インタビューガイドを作成する

インタビューガイドはユーザビリティテストの台本です。インタビューガイドには、質問やタスクの順番、時間配分、インタビュアーが話す内容、すべてを記載します。インタビュアーはこのインタビューガイドを参照しながら、原則としてそのとおりにテストを進行します。

[基本的なフロー]

  1. 事前インタビュー:モニターのITリテラシー、テストサイトに関連したヒアリング
  2. タスク事前説明
  3. タスク行動観察
  4. 事後インタビュー:感想、評価、要望、不満などのヒアリング
  5. 環境の初期化
事前に試験テストを実施する

実際にテストを行うと、タスク設計や初期化手順などに不備が見つかることも少なくありません。
そこで事前に試験テストを行います。

試験テストの目的は「ユーザビリティテストそのものをテストする」ことです。試験テストはタスク設計やインタビューガイド、初期化手順の修正ができるタイミング(テストの2~3日前)で実施してください。

なお、試験テストは絶対に実施してください。もし省略し、タスク設計や初期化手順に不備があった場合、修正する時間がなく不十分な状態のままユーザビリティテストを実施することになり十分なテスト成果は得られません。

3. テスト実施

タスク行動観察

ユーザビリティテストの基本は「テスト指示を出したら、後はモニターに任せる」ことです。
モニターにテストのゴールを理解してもらいテストが開始したら、モニターが独力でタスクを完了できるかどうか観察に徹してください。もしモニターから質問されても質問に回答しないよう注意してください。実際の利用シーンでは訪問ユーザは1人でWebサイトを利用するのですから。

またモニターに、テスト中は思ったことや感情を独り言で喋ってもらう(思考発話)よう依頼していますが、モニターは集中したり、混乱したりすると無言になることがあります。この無言のポイントこそ聞き出したい重要な情報が隠れている可能性が高いので、無言になったときはインタビュアーが「今、何を考えていますか?」「どうなると思っていましたか?」といった発話を促し情報を引き出すようにしてください。

観察ポイントとして次の3つを意識してみてください。

  1. モニターは独力でタスクを完了できただろうか?
  2. モニターは無駄な操作を行ったり、戸惑ったりしなかっただろうか?
  3. モニターは不安や不満を感じていなかっただろうか?
事後インタビュー

タスク終了後の事後インタビューでは、率直な感想をもとめましょう。そのとき、決してモニターを誘導することなく、自由に感想を述べてもらってください。

スムーズにサイトを利用できたモニターならポジティブな感想が中心になるでしょう。一方、悪戦苦闘したモニターならばネガティブな感想が中心になるでしょう。テスト対象サイトには良い点も悪い点もありますから、モニターから一通り話を聞いたら、ポジティブな感想が中心のモニターには、「では、もう少しこうなれば・・と気になった点をあげてください」、ネガティブな感想が中心のモニターには、「・・・だったが、ここは良かったかな、という点をあげてください」といったように、それぞれ逆の感想についてもヒアリングするようにしてください。

ユーザビリティテストによる行動観察は
Google アナリティクスでは分かりえない意外な発見をもたらす

ユーザビリティテストでは主に定性データが得られます。

  • モニターの検索行動、サイト操作方法
  • モニターの思考発話(独り言)
  • 想定外の意外な事実

場合によっては、こちらがまったく想定していない行動を取ったり、こちらが有益な情報だろうと思い掲載している情報をユーザはまったく重要視していなかったり、など意外な発見がしばしば得られます。

この意外な情報はGoogle アナリティクスなどのアクセス解析ツールでは得ることができない非常に重要な情報です。ユーザビリティテストを積極的に実施するだけでも、精度高く効果的なサイト改善を行うことができると実感しています。

しかし、ユーザビリティテストの実施経験を積むと分かるのですが同じものを見ても人によって「良いと感じる人/悪いと感じる人」が分かれます。ユーザビリティテストは5人程度のモニターの限られた意見ですから定量的な価値を求めるのではなく、操作性の課題や感情面の『定性的な情報』を評価する分析手法と理解してください。

「このモニターの意見を根拠に本当に改善策を取っていいのか?」という視点を持っておくことは重要です。そのような疑問を持った場合はGoogle アナリティクスやヒートマップツールのアクセス解析ツールを確認し、モニターの意見をデータで検証できるのであれば裏づけを取るようにしてください。

どの分析手法、アクセス解析ツールにも得意・不得意があります。1つの手法に頼るのではなく複数の観点から分析することで、漏れが少なく精度の高いサイト分析が可能となり、あなたのサイトは目を見はるように大きく成長することでしょう。

※ユーザビリティテストに関する書籍も出ていますので更に深く知りたい方は、以下の書籍を参照ください。

アジャイル・ユーザビリティ -ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング- 著:樽本徹也

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森戸 裕一(もりと・ゆういち)

森戸 裕一(もりと・ゆういち)

一般財団法人ネットショップ能力認定機構 理事

2002年ナレッジネットワーク株式会社設立。全国47都道府県で2000回を超える中小・中堅企業向けの情報化セミナー講師を担当。2010年10月一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会を設立。2013年7月一般財団法人ネットショップ能力認定機構の事務局長に就任。ネットショップ 運営能力を測る「ネットショップ検定」を主催し、自らも講師として全国でセミナーを実施。

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