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エキスパートコラム

写真撮影入門(全12回)

第7回:メイン写真が変わると、集客が変わる

執筆:鍋坂 樹伸(コマーシャルフォト サン・スタジオ)

2012年10月31日更新

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ウェブサイトには、さまざまな写真を掲載します。
利用者は文章を読み、写真を見ることで、必要な情報を得るだけでなく、感情が動かされ、実際にお店に行ってみよう、商品を買ってみようという気持ちになります。
第7回では、ウェブサイトの看板となる、キービジュアルの撮影方法について解説します。

お店の「売り」を看板に

利用者がもつウェブサイトの印象は、「3秒で決まる」とも言われています(デザインカスタマイズ:第1回「デザインの方向性を決めよう」参照)。そのため、ウェブサイトの中で一番目立つところに、看板となる写真を配置するのが一般的です。
みなさんはそこに、どのような写真を掲載すると効果的だと思いますか?

ウェブサイト全体を通して、「伝えたいこと」や「アピールポイント」はたくさんあります。何枚か撮影した写真を、実際にレイアウトし、比較することで、どれが一番メイン写真にふさわしいのかを決めるのが鉄則ですが、これから説明する「事前準備の工夫」によって、作業がだいぶスムーズに進みます。

撮影前の打ち合わせが一番重要
絵コンテを準備して「仕上がり」を確認

絵コンテといっても、簡単な手書きの絵(ラフスケッチ。撮影ラフ、略してサツラフとも言います)で充分です。それを元に「事前打ち合わせ」をします。これでメイン写真制作の70%が終わったと言っても過言ではありません。

絵コンテを使い、打ち合わせをするメリット3点

  • 事前に被写体を引き立たせる為の、撮影小物※ を準備する時間ができ、写真の完成度が上がる
  • スタッフ間で共有することにより、「+α」のアイデアが生まれる
  • 撮影当日に悩むことが減るので、忘れ物や見落としがなく、スムーズに短時間で作業が終わる

単に写真を撮るだけならとても簡単です。しかし、キービジュアル用の撮影は少し工夫が必要です。
店名やロゴマーク、キャッチコピー、切り抜き画像の貼りこみなど、複数の要素が組み合わさることで、1枚の写真(画)になります。

チェック項目は以下の通りです。

  • 店名やロゴマークが入るスペース
  • キャッチコピーが入るスペース
  • 切り抜いた写真が入るスペース

これらを事前に考え、適正な「間」を空けて撮影するようにしましょう。
撮影した写真だけを見たら、「間抜け」に見えるかもしれませんが、ジグソーパズルのように必要なピースを配置することでメイン写真は完成します。

この考え方は、ウェブサイトに限らず、ポスター、チラシ、DM、ポストカードなど、全てのものに共通です。是非参考にしてください。

※撮影小物とは

  • 飲食・・・食べ物の下に敷く布、季節感を出す草花、盛り付ける皿やかご、ザル、お盆など
  • アパレルや人物・・・商品を引き立たせるモデルの手配、ヘアメイク、メインの被写体に関連した周辺道具など
  • 施設・・・生花や家具など(特に室内撮影の場合、整理整頓し、いらないものを省くことも必要です)

では、実際に見てみましょう。

撮影場所:高松市中心街のカフェ
営業時間:11:00~17:00 と 20:00~26:00
利用者層:学生、20~40代の社会人

撮影意図(店の特徴)は次の通りです。

  • ゆったりとした、広い店内(1人当たりのスペースも広い)
  • こだわりの椅子やテーブル(特に無垢板のカウンター)
  • 大人数でも、1人でも居心地がいいように考えられたテーブルレイアウト
  • 深夜2時まで営業
  • 21、22時頃から夜カフェとしての利用者が多い(美味しいケーキと飲み物が楽しめる)
  • 女性店員がつくる「温かい店の雰囲気」
  • 結婚式の二次会など、パーティーでも使用できる収容力をアピール

撮影ラフ1:コーヒーとケーキ、奥行きを出す、ピントを手前のカップに合わせる

完成1:女性スタッフの手をいれ、人の気配を感じる写真に仕上げる

絵コンテには暖色系と白色しかなかったので、木の小物を入れ写真の中に緑色を加えました。

撮影ラフ2:コーヒーとケーキ、真俯瞰(真上)から撮影

完成2:店の雰囲気としては、上が正解ですが別の背景でも撮影

例えば、クリスマスシーズンに、下のような赤い写真に変えてみるのも、イメージアップにつながります。
真俯瞰からの撮影は、皿やグラスなどの丸い形状もあり、かわいい写真に仕上がります。

撮影ラフ3:広い店内、奥行きを出す、ピントはコーヒーカップに合わせ背景はしっかりぼかす
第6回「今までに使ったことのない撮影モードにチャレンジ」参照)

完成3:カップの手前に本を置くことにより、ゆっくりと流れる時間を演出

撮影ラフ4:1人掛のカウンタースペース

完成4:女性が気軽に入れるように、可愛い小物と清潔感のある白い壁を撮影

撮影ラフ無し:男性向けにすわり心地のいい椅子やソファーを撮影

利用者が足を止めたくなるキービジュアルは

今回の例で出したカフェの写真は、「食べ物」と「空間」を中心に数パターン撮影しましたが、どの写真がキービジュアル向きかはわかりません。
そんなときは、「アクセス解析」をふまえた考え方が効果的です。

例えば宿泊施設で説明します。

決まった期間ごとに、「料理」→「部屋」→「周辺の美しい風景」→「建物の外観」→「料理人の真剣な調理姿」と写真をかえてみます。

写真を変える前と後で、利用者の滞在時間が長くなったり、利用者の動きに変化がないか注目すると、コンバージョンの達成につながるキービジュアルがなにか判断できます。
この方法をA/Bテストと言います。
データが得られれば、キービジュアル選定に悩むことはなくなります。
仮に料理写真に絞れた場合は、少し季節を先取りするなど工夫をして撮影し、掲載しましょう。
メイン写真に使われなかった写真は、スライドショーにして本文に掲載し、大切な説明写真として活用しましょう。

建物の外観は撮影時刻が大切

屋外での外観撮影で注意することは、太陽光線のあたり方です。

このカフェの撮影状況と対策は次の通りです。

  • 玄関は北向きのため、日中は常に逆光

    北向きなので太陽光のあたり方を気にせず、明るさや雰囲気で判断しました。
    東向きなら午前、南向きなら正午前後、西向きなら午後に撮影すると逆行にならないので良いでしょう。やむを得ず逆光になる場合は「露出補正」を活用しましょう(第4回:「被写体が生きる明るさのコントロール」参照)。

  • 夜の営業時間がメインのお店

    室内の照明がきれいに写りはじめる、夕方ごろに撮影しました。

  • 繁華街にある店舗

    店の雰囲気とは違うビルが隣接しています。なるべく入らないように撮影しました。

完成6(撮影ラフ無し):系列店が2階にもあり、縦位置も撮影

まとめ

撮影に重要な考え方は以下の3点です。

  • 何を撮るのかを考え、絵コンテを準備、スタッフ全員で撮影前に「完成イメージ」を共有する
  • キャッチコピーや店名、ロゴマークが無理なく入るように「スペース」を考え撮影する
  • 「アクセス解析」を利用しどのような写真がキービジュアルになれば利用者が足を止め、長く滞在してもらえるかを知る

今回は撮影前の準備、撮影中の注意点、掲載してから後の考え方について解説しました。
写真はみなさんが心を込めて作った製品やサービスを、一瞬にして利用者に伝える大切なツールです。
慣れるまでは、この一連の流れを参考に撮影する事をおすすめします。

第8回では、お店のスタッフを撮影し、ウェブサイトに掲載する際のポイント、利用者に与える印象や注意点など「人物撮影」について解説します。

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鍋坂樹伸(なべさか・しげのぶ)

鍋坂 樹伸(なべさか・しげのぶ)

コマーシャルフォト サン・スタジオ 所属

1975年、兵庫県姫路市生まれ。中央学院大学商学部商学科卒業。香川県高松市在住。東京都内の印刷会社営業職を経て、2003年に実家が運営する「コマーシャルフォト サン・スタジオ」入社。広告写真家として活動し、食品・洋服・人物・風景など、さまざまなジャンルの撮影に対応。
2012年より専門学校 穴吹デザインカレッジにて非常勤講師をつとめるかたわら、企業や団体が主催するセミナーでも講師をつとめる。
CSS Nite in TAKAMATSU オフィシャルフォトグラファー。

著書『Web制作と運営のための写真撮影&ディレクション教本~段取りから準備、撮影テクニック、実践ポイントまで~』(マイナビ)。

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