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エキスパートコラム

基本から学ぶSEO(検索エンジン最適化)(全12回)

第1回:検索エンジンの向こう側のヒトを考える

執筆:益子 貴寛(株式会社サイバーガーデン)

2014年5月19日更新

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「基本から学ぶSEO(検索エンジン最適化)」では、SEOの考え方や取り組み方を解説します。第1回は「検索エンジンの向こう側のヒトを考える」。検索エンジンを使っているのも人間、ホームページを見て行動を起こしてくれるのも人間です。検索エンジンの動向や技術的な視点だけでSEOをとらえないようにしましょう。

ホームページの利用者との関わりや、自分たちが伝えたいコンテンツとの関係を中心に、SEOの基本的な考え方を解説します。

SEOでは「ヒト」を理解しようと努めることが大切

SEO(Search Engine Optimization)は「検索エンジン最適化」といわれる、ホームページの集客施策のひとつです。

SEOで大切なのは、実際に検索エンジンを利用している「ヒト」をイメージすることです。「検索エンジンに最適化する」というよりも、「検索エンジンを使っているヒトに最適化する」のがSEOの中心です。

インターネットユーザーは「知りたい」「買いたい」などの意図をもって検索エンジンを使っています。このような利用者のニーズに寄り添い、どうしたらよいかを考え、ホームページを改善しましょう。

利用者がどのような言葉で検索し、ホームページに来たのか。その要望に足るコンテンツが提供できているのか。そもそも、自分たちのホームページが検索エンジンで見つけやすい状態にあるのか。検索エンジンの向こう側で、実際に使っている「ヒト」を起点に考えることが、SEOでもっとも重要です。

SEOでは「検索エンジンに最適化する」というよりも、「検索エンジンを使っているヒトに最適化する」という意識が大切。

露出、訪問、成果、満足の4ステップとSEO

ホームページと利用者との関わりには、露出、訪問、成果、満足という4ステップがあります。このうち、SEOが貢献できるのはどの部分かを考えていきましょう。

露出、訪問とSEOの関係

露出について、関連するキーワードで検索したときに、自分のホームページが結果画面で上位に表示されれば、ひとまず露出が多い状態といえます。

ただし、ホームページを露出させる場所は、検索エンジンだけではありません。プレスリリースや新着情報を発信する、リスティング広告やネットワーク広告を出稿する、フェイスブックやツイッターなどにこまめに投稿する、メールマガジンを発行するのも、露出を増やすのに有効です。

インターネットの手法だけでなく、チラシの配布、看板の設置、タウン誌への出稿、営業的な手法や、予算規模が大きければ新聞広告、雑誌広告、交通広告、テレビCMの出稿など、リアルでの周知もはかれます。

SEOは、そのホームページと個々のページを検索エンジンが評価するプロセスがあること、その評価は基本的に長い目で見て変化することから、広告やクチコミのような短期的な効果は期待できません。短い期間に露出を大きく増やすならば、広告、クチコミ、インターネットによらない方法を選ぶのが賢明です。

それでもなお、ホームページの運営上、なぜSEOへの関心が長らく高いかといえば、中長期にわたる持続的な効果が期待できること、きちんと習慣づけて運営すれば、ホームページが露出する機会を生み出しつづけてくれることが理由です。

露出の次のステップ、訪問との関係はどうでしょうか。

訪問にもSEOが大いに関係します。そのホームページが検索結果で上位に表示されても、ページタイトルや説明文が不適切であれば、利用者が訪問してくれない(クリックやタップをしてくれない)可能性があります。露出の仕方が、訪問するかどうかという利用者の心理に大きく影響するということです。

訪問につながるように、露出の「質」を高めること、具体的には、関連キーワードで検索し、結果画面での表示を確認してみて、いっそう適切な内容に改善するのがよい方法です。

成果、満足とSEOの関係

成果を専門用語で「コンバージョン」といい、問い合わせ、資料請求、商品の購入、サービスの契約など、利用者が目に見えない顧客(潜在顧客)から目に見える顧客(顕在顧客)に変わったことを指します。文字どおり、潜在顧客から顕在顧客に「転換」したという意味です。

SEOが成果に直結するかというと、なかなかむずかしいといえます。SEOによって検索結果での露出を増やし、ひいては訪問を増やせますが、そのあとの成果につながるかどうかは、ホームページのコンテンツや顧客対応によります。たとえば、商品やサービスのアピールの仕方、説明のていねいさ、問い合わせへの回答の親切さなどにかかっています。

検索エンジンから訪れるのは、その会社の商品やサービスを深く知らない、利用したことがない人がほとんどです。心理的な壁が高く、成果につながるアクションをすぐには起こしてくれません。このような意味でも、SEOは成果との関連性は強くありません。

また、リアルの店舗への訪問をうながす場合は、ホームページだけでは直接的な成果を生み出せません。住宅や自動車の問い合わせや見積もり、化粧品の無料お試しセットの申し込み、インテリアのカタログや資料請求などは、ひとまずホームページでのコンバージョンといえますが、ビジネス上はあくまで中間的な成果にすぎず、最終的な成果はもっと先にあります。

最後に、満足との関係はどうでしょうか。

実際にその会社の商品やサービスを利用し、満足したかどうかなので、SEOとの関連性はほぼなくなります。SEOというよりも「リピーター(お得意さん)になってもらえるか」という観点から、改善をはかることになるでしょう。

なお、検索結果での露出の段階で「内容が適切でなかった」というネガティブ要因としては、成果や満足にSEOが関係するといえます。「あるキーワードで検索し、そのページが上位に表示され、期待を抱いて訪問してみたが、コンテンツが充実していなかったり、ニーズにマッチしていなかった」となると、よい印象を抱いてもらえません。この点からも、検索結果での適切な露出と、利用者のニーズを考えたコンテンツの提供のために、SEOに取り組む必要性が理解できます。

SEOは、露出、訪問、成果、満足という4ステップの最初のほう、露出と訪問に深く関わる。成果と満足とはあまり関係しないが、検索結果での適切な露出、利用者のニーズを考えたコンテンツの提供など、露出から満足にいたるまでの利用者の感情を害さないために、SEOが役立つ面がある。

当然、自分たちが「伝えたいこと」という軸が必要

ここまで、利用者の視点でSEOを考えてきました。もうひとつ、あらためて考えたいのは、自分たちにできること、取り組んでいること、伝えたいことはなにかです。

商品やサービスにどのようなこだわりを持ち、どのような工夫をし、どのようなお客さんに買って(または使って)もらいたいのかを明確に示すことが大切です。コンテンツの軸は当然、これらの内容になるはずです。

そのうえで、利用者のニーズに寄り添うこと、たとえば、

  • 自分たちにしか通じない専門用語を多用しているので、平易な言葉に変える
  • 検索結果での露出が、そのページの実態をあらわしていないので、修正する
  • 利用者の訪問キーワードからニーズを汲みとり、コンテンツづくりに活かす
  • ホームページの構成をわかりやすくし、使いやすさを向上させる

といった改善を行うことが大切です。

さきほどの4ステップでいえば、コンテンツづくりは「成果」の達成が目的です。たくさん露出し、多くの人に訪問してもらっても、成果の達成は約束されません。また、露出や訪問につながるさまざまな取り組みは、買って(または使って)もらいたい商品やサービスと、伝えたいコンテンツがあってこそです。

自分たちの思いだけでは、コンテンツがひとりよがりになってしまったり、利用者に伝わりにくい表現、物足りない内容なのに、それに気づかない恐れがあります。SEOの観点からさまざまなを改善を行うことで、より多くの利用者にコンテンツを届けると同時に、成果を達成する可能性が高められます。これが、冒頭に書いた「検索エンジンを使っているヒトに最適化する」というSEOの意味です。

ホームページのコンテンツの軸は、自分たちが「伝えたいこと」。さらに、SEOの観点から、利用者が求める内容を提供したり、表現を工夫することが大切。このような取り組みによって、利用者の増加、成果の増加が期待できる。

まとめ

SEOは、

  • 中長期的
  • 新規顧客への
  • 露出を増やす

ための取り組みです。

検索エンジンの向こう側で、実際に言葉を入力している「ヒト」をイメージしましょう。露出だけが増えればよいのではなく、そのあとの訪問や成果につなげるには、コンテンツの再考はもちろん、利用者のニーズを理解しようと努めることが不可欠です。

これまではSEOにあまり関心がなかった自治体、病院、社会福祉など公益性の高い事業でも、SEOの必要性が認識されはじめています。SEOという言葉を使うかどうかは別として、検索エンジンの利用者に配慮することで、利用者が求める情報に到達しやすくなるからです。

あるいは、SEOの取り組みが不足していることで、利用者が検索エンジンでそのホームページを見つけられず、求める情報に容易にアクセスできない状況も考えられます。SEOはビジネスに必要というだけではなく、広くインターネットユーザーが、情報にスムーズにアクセスするための、あらゆるホームページに必要な取り組みといってよいでしょう。

現実的な問題として、検索エンジンによる評価基準の変更というリスクも、一方で考えておかなければなりません。ホームページへのアクセス経路として、検索エンジンの割合が大ききければ当然、リスクが高い状態といえます。リピート、 クチコミ、広告などほかの経路の充実を同時に目指しつつ、あるいは、次の段階でのアクションプランとしつつ、SEOに取り組むことをおすすめします。

最後に、読みものとして楽しみながら、SEOの考え方が身につく記事を紹介します。

住太陽さんの「三人の弁護士」

http://www.searchengineoptimization.jp/the-three-lawyers

独立したばかりの弁護士3人それぞれが、どのようにホームページを運営し、仕事の獲得につなげていくかを、たとえ話としてわかりやすく説明しています。SEOとリスティング広告の対比や、誤った方法による機会損失の発生は、多くの業種業態に共通する話として、たいへん示唆に富んでいます。続編で「ネットショップを始めたい」「ホームページを売れる営業マンにする」なども公開されています。

松尾茂起さんの「沈黙のWebマーケティング ─Webマーケッターボーンの逆襲─」

http://www.cpi.ad.jp/bourne/

劇画風の魅力的な構成とテイストで、SEOを含むウェブマーケティング全体の知識が学べます。SEOの考え方だけでなく、デザイン、文章ライティング、戦略思考など幅広い話題が扱われており、自分の立場と登場人物を重ねて読むと、いっそうの実感をともなって読み進められます。

また、大手検索エンジンであるGoogleが、SEOについてどのように考えているかを知るために、次の資料にも目を通しておくとよいでしょう。

Googleの公式ドキュメント「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」

http://googlewebmastercentral-ja.blogspot.jp/2010/09/seo.html

Googleが公開している無償のPDFです。2010年に更新された資料で、やや古さを感じますが、SEOでは「ユーザーと検索エンジンの双方にやさしいサイトを」というGoogleの基本姿勢がわかります。技術的な内容やツールに関する解説も含まれるので、自分のレベルに合わせてたまに見返してみるとよいでしょう。あわせて、 ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)を参考にしましょう。

第2回では、検索結果画面の中身を解説します。ホームページが検索結果画面でどのように露出するか、自然検索と広告エリアの区別、ウェブ検索以外の検索(画像や動画など)を理解しましょう。

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益子 貴寛(ましこ・たかひろ)

益子 貴寛(ましこ・たかひろ)

株式会社まぼろし 取締役CMO/株式会社サイバーガーデン 代表取締役
https://maboroshi.biz/
http://cybergarden.jp/

1975年、栃木県宇都宮市生まれ。早稲田大学大学院商学研究科修了。
Webサイトのコンサルティング、企画・設計、制作業務、教育、執筆活動に従事。社団法人 全日本能率連盟登録資格「Web検定」プロジェクトメンバー。元・金沢工業大学大学院 工学研究科(東京・虎ノ門大学院) 知的創造システム専攻 客員教授。

主な著書に『Web標準の教科書』(秀和システム)、『伝わるWeb文章デザイン100の鉄則』(同)、『現場のプロから学ぶXHTML+CSS』(共著、マイナビ)など。
2013年5月、企画・構成から監修、執筆まで総合的に関わった書籍『ウェブの仕事力が上がる標準ガイドブック 2 Webデザイン 第2版』(共著、ワークスコーポレーション)が発売。

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