エキスパートコラム
色のイメージとホームページの色が合わなければ、せっかく内容がよくできていても、訪問者は中身を読まずに去ってしまうこともあります。このコラムでは訪問者のイメージに合わせることができるように、色のイメージとその心理的な効果を説明し、色によって向いているサイトと向いていないサイトを解説していきます。
第2回目は赤の持つ意味や心理的な効果、それに向いたホームページと向かないホームページについてまとめています。
赤は最も多く使われている色
赤はおそらく最も多く使われる色のひとつです。これは日の丸の色であったり、神社の鳥居の朱色・おめでたい時の紅白というように晴れの舞台で使われる色であることが理由です。また目立ちやすい色でもあり、会社やお店などのロゴでも多く使われています。ホームページ上でも背景の白・文字の黒・リンクの青を除いて最も多く使われている色です。
赤は日本人にもなじみの深い色
赤のイメージと基本的な使い方
赤で連想される イメージ |
情熱、活気、熱い、怒り、危険、暖かい、力強い、強い、痛い、愛、元気、止まれ、激しい、辛い、目立つ、生命 |
---|---|
赤で連想される物 | りんご、ハート、トマト、女性、太陽、血液、火、信号、バラ、夕日、消防車、日の丸、お湯、唐辛子、広島カープ、口紅、ポスト |
赤はオレンジや黄色とともに暖色として、暖かさや暑さを感じさせる色です。中でも赤は太陽であったり暑さを感じさせたりと多くの「エネルギー」を感じさせる色です。その反面、痛いや危険などのマイナスのイメージも持っています。そのため優しさや穏やかさが必要な場面にはあまり合いません。
強いエネルギーを感じさせる赤
男女の区別を行う際には男性が青、女性が赤(もっと色が薄い場合は男性が水色、女性がピンク)であったり、水道の蛇口で水とお湯の区別などでも使われたりもしますが、色は鮮やかであるほど、与えるイメージも強くなります。赤のイメージを残しながら、そのマイナスのイメージを減らしたい場合には、白を多く混ぜてピンクにして優しいイメージを出すか、黒を混ぜて茶色に近づけていけば、赤のマイナスイメージである尖ったイメージは薄められていきます。
またその分量も大事です。赤を全面的に使うようなページは、長く読むには不向きです。大きく使う場合には文字が入る部分は白にして、赤は背景に使うのが基本です。
赤の背景色は分量を控えめにした方が内容も伝わりやすい
明るい赤と暗い赤
赤にも様々な赤があり、白を混ぜていくと明るくなってピンクになり、優しいイメージや女性的なイメージを出すことができます(ピンクについてはまた別の回で詳しく説明します)。
また黒を混ぜていくと暗くなって茶色になりますが、落ち着いたイメージや渋いイメージを伝える時に使われます。学術的な分野や学校などでは原色に少し黒を混ぜたえんじ色がよく使われています。
明るい赤と暗い赤。イメージに合う赤を選ぼう
赤が合う業種・合わない業種
赤はどの業種でも使われる色で、鮮やかな赤を画面いっぱいに使うようなことをしなければ、どんなホームページにでも使うことができますが、特に祝い事のためのサービスでおめでたい感じを出したいときや、料理や宿泊施設などで和のイメージを強く伝えたい時には欠かせない色です。このような場合には少し黄色が入ったような朱色を使うとよいでしょう。
赤を使ったおめでたいイメージ
鮮やかな赤は血液や痛みを連想させることもあるため、赤のイメージを薄めたピンクを除いては、あまり病院や薬局などのホームページでは使われません。また危険を連想させることから安全を重視するようなホームページでも避けたい色です。安全のイメージを大事にしたい場合には、赤と反対の青や緑系の色を選ぶようにします。
赤を使った小児科病院のイメージ
色選びの3つのポイント
- 色を選ぶ場合には、「この色を使いたい」だけでなく、「この色は使わない方がよい」というマイナスのイメージや訪問者の期待する色も合わせて考える
- どんな色でも使いすぎると中身の邪魔をする。多く使いたい場合には文章が入らない部分の背景に色を使うようにする
- どの色を選ぶか迷ったら、周囲の3人以上の人に聞くこと。1人だけに聞くと好みだけを言われ、意見が分かれるだけのこともある
ウェブデザイン&配色の見本帳
『ウェブデザイン&レイアウトの見本帳』に続く、ウェブの配色に特化した実例の見本帳です。掲載している項目のテーマは、季節感を感じさせる配色デザインや、イメージを喚起させる配色、文字や罫線などと配色の関係、さらには集客に繋がる配色も紹介しています。なお、本書のはじめには色相や彩度、補色など、配色に関する基本的な事柄も解説することで、ウェブに関する配色の本として充実した内容になっています。